有機のタネの専門店〜有機の固定種・在来種・自然栽培の種 F1有機種子など多数〜

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No.001

 

井上さんご夫妻

レストラン「ハンドメード」

 

大学時代、アルバイト先の風変わりな店長から料理のイロハを教わったことがきっかけで、すっかりフード事業に興味を持った井上さん。2017年5月、田園の中の隠れ家的レストランをオープン。笑顔が素敵な奥様がお客様のアテンドを担当。
http://blog.h-m-amakusa.com/

 

 

 

熊本県天草市。海に囲まれた自然豊かな島々。

市の幹線道路をちょっとわき道に逸れると、梅雨前のムッとする暑さが途端に

和らいだ。見上げると背の高い杉林が広がる。

杉林を抜けると突然広がる田園風景。

青い空をバックにレストラン「ハンドメード」の看板が出迎えてくれた。

 

 

ズッキーニの花の天ぷら。ほんのり甘くやわらかい。

 

まずは、地元の人のために

 

「地方創生」「地方活性化」。

そのために、地方の観光化は必要。

 

「でも、まずは地元の人に好きになってもらいたい」

と語る井上さん。

 

だから、メニューも西洋風のものもあれば、地元のおじさん、おばさんにも

気に入ってもらえるような和食もある。

 

「例えばズッキーニ。敷地内の畑で生産し、首都圏のレストラン向けに

ズッキーニの花を出荷しています。花が出荷中につぶれないよう、一つ一つの花に

スポンジを詰めるほど丁寧に出荷しているんですよ。」

 

 

ズッキーニの花の出荷。

 

出荷をしていただいている地元のシルバー人材の方々はというと、

ズッキーニの花は食べたことがないという。

 

「地元の方にも、せっかくのおいしいズッキーニの花、食べていただきたいんです。」

 

レストランを始めてから、出荷していただいた方にも料理をふるまった。

初めて食べるズッキーニの花。

「こんな食べ方で、こんな味なんか」と驚きとともに喜んでいただいた。

 

ズッキーニの花の天ぷら。花の中にはとれたてバジルのペースト入りマッシュポテト。おいしくいただきました。

 

「まずは、地元の人に喜んでもらえなければ、意味がない。

それに、地元の人に気に入っていただけたら口コミで広げてもらったり、

SNSなどで情報の発信者になってもらえると思います。」

 

「魚だけじゃない、天草」を目指して

 

海に囲まれた天草は、鯛やきびなご、セミエビなど、魚介が豊富だ。実際、新鮮な魚介の刺身や寿司など目当てに訪れる観光客も多い。

 

「人と同じことをやっていても生き残れません。過疎化が進む天草市ですが、この30年間、第一次産業の数は減っていません。可能性はまだまだあります。」

 

バジルペーストも販売。できたてをすぐ冷凍し、鮮やかな色と香りをキープ。

 

天草イコール魚、だけではなく「とれたて野菜を楽しみに天草に行こう」というコンセプトがあってもよいのではないか。

実際、首都圏のレストランに出荷するほどクオリティの高い野菜が生産できる自然豊かな土地柄なのだ。

 

それに、田園の中のレストランで、畑でとってきたばかりの新鮮な野菜をいただく、という贅沢は、ここでしか味わえない。

 

「この環境を生かして、これからどんどん、とれたて野菜を使ったイベントなどに取り組んでいきたい」と語る井上さん。

地元の方にも、観光客にも喜んでもらえる空間、ここでしか味わえない空間を目指す。

 

畑でとれたバジル、天草特産の晩柑を生かしたジェラート。

 

オーガニック、興味あります

 

レストランで提供する主な野菜やハーブを栽培する岡村農園オーナーの岡村さん。

実は、グリーンフィールドプロジェクトを立ち上げたばかりのころ、種の試験栽培にご協力いただいていた。

 

岡村さん(右)と、グリーンフィールドプロジェクト・松崎(左)。久しぶりの再会。

 

「土が疲弊しているのを肌で感じる。いくら種や苗が良くても、土がちゃんとしていないとだめだと思う。去年、ズッキーニがあまり収穫できなかった。土を改善するのが大変だった。全国でこういうことが起こっているのではないかと懸念する。こんな状態が続くというのは、悲惨だ。」と岡村さん。

 

これからは循環型農業、オーガニックの時代。そして、地方の農園が生き残るためには、市場のニーズを把握しながらもブレない経営が必要、と語る。

 

 

トークを終えてー

 

選ばれる地方になることも大切、そして、豊かな自然を守っていくことも大切。

私たちが今直面している問題は、今だけの問題ではないと痛感させられました。

長期的な視点で何ができるのか、どうバランスをとっていくのか、が今後の課題だと思います。

 

ダイエット中にもかかわらず、すっかり平らげてからのインタビューの様子。

 

文・写真:松崎ちさと