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【アグリビジネスにおける集中と環境】
三石誠司
清水弘文堂書房 (2007/2/28)

昔は、モノを売る、買う、という行為がもっと単純だった。
例えば、自分の畑でとれた野菜を市場で売り、近くの海でとれた魚を買う。
そして、売るほうも買うほうも、直接なり間接的な知り合いだったりする。
生活圏が今よりずっと狭かったのだ。

しかし、現代の“モノ”を取り巻く環境は、もっと複雑。
利害関係者も多様に絡んでくるし、変化のスピードも速い。

本書に出てくる遺伝子組換大豆も、開発されてから10年足らず、あっという間に
アメリカの大豆作付の90%近くを占めるようになった。
そして、その社会的・経済的・環境的影響は、もはやアメリカだけの問題ではない。

この本の題名は「アグリビジネスにおける集中と環境」。
一見、小難しい専門書のような印象を受けるが、
テーマはあくまで「企業の動きを通じて社会を見る」こと。
具体的な事例をあげて企業の活動と社会や経済との関係が説明されており、とても分かりやすい。

農業や畜産分野のアグリビジネスに携わる人ではなくても、十分楽しめる内容だ。
そして、社会に生きる一人の消費者として、一度立ち止まって考えてみるべきテーマも
多分に含まれている。
「遺伝子組み換え~?なんだか怖いから嫌!!」という、なんとなくの感情論ではなく、
遺伝子組み換えのメリットとリスク、環境に与える影響や、ビジネスにおける役割などなど、
客観的に見つめることも大切。

たまには自分の守備範囲や興味とはまったく別の分野の本や映画を見てみるのも面白いし、
新たな発見にもなるのではないだろうか。
いや、むしろ、この本を読むと、自分の興味があろうとなかろうと、
自分の生活は社会のすべての分野と大きな輪でつながっている、ということに気付くかもしれない。

※私は商売柄、種子業界について興味があり読んでみた。種子ビジネスに関するサイトや機関が多数紹介されており、
事例とデータを用いて淡々と説明されていて、業界に携わる方々へおすすめの本です。